| 流動と下痢 |
| 経腸栄養法は腸管を使用する生理的な栄養投与法ですが、経管投与の場合にはIVHに比較して副作用としての消化器症状(とりわけ下痢)が問題となります。 経口摂取の場合には、他の原因による場合を除いて、流動食の投与による下痢の発生はほとんど問題となりません。これは胃のリザーバー機能が働くからです。 チューブ先端が胃内に留置されている場合には、胃のリザーバー機能が期待でき、下痢発生の恐れは軽減しますが、それでも下痢が発生する場合があります。 経管投与の場合、チューブ先端が十二指腸上部に留置されている場合には、特に下痢に対する配慮が重要です。(誤嚥の恐れのある患者の場合には、経腸栄養ガイドラインに推奨される方法で) 下痢の発生要因は、投与速度、浸透圧、細菌汚染及び組成に大別されます。 投与速度はできるだけ遅い方が良いです。ただし、高齢者の寝たきり患者で消化管が正常な場合は、術後の栄養管理とは違う場合があり、患者の様子を見ながら、順次投与速度を上げて下さい。 以前は浸透圧が下痢発生の主要因と考えられてきましたが、最近では浸透圧が高い成分栄養でも、投与速度等の調節により、下痢の発生を防げるとの考え方に変わってきています。投与温度は重要な因子と考えられておりますが、投与前に加温しても、経管投与中に冷めてしまい、実際には室温に近い温度での投与となります。冷蔵庫から出した直後の状態で投与しなければ、あえて加温の必要は無いと思われます。 細菌汚染は意外に知られていない問題ですが、濃厚流動食のほとんどが細菌汚染により凝固することで細菌汚染が確認出来ます。 しかし、凝固に至らないで増殖している場合もあり、汚染管理は常に重要な課題となっています。 組成による問題は、グルコースや乳糖由来の下痢発生が考えられますが、グルコース重合体であるデキストリンの使用や乳糖が腸内細菌により資化される等で最近は言われなくなりました。標準濃度(1.0kcal/1ml)で100ml/1時間の経管投与による下痢発現率は低頻度ですが、400ml/1時間では、高頻度の発現率となるので、食物繊維を含んだもの、あるいは下痢発現成分を軽減したものを選択する必要があります。 冷蔵庫から出してすぐの経管投与は、寒冷性下痢を生じ易いので、室温になってから行うか、留置部位が体温と同じ位の温度になるように、最初はゆっくりと投与する必要があります。 経口で下痢し易い人は時間をかけてゆっくりと喫食する様に指導が必要です。 |