経管栄養時の濃厚流動食の使用法について 栄養士の方
 栄養学上の留意点
 長期使用と欠乏症等について(微量ミネラルについて) 

 食品である濃厚流動食は食品衛生法により添加出来ないミネラル成分が有ります。したがいまして、濃厚流動食のみで管理されている患者さんの一部には微量ミネラル欠乏(銅、亜鉛等)を起こす場合があり、注意が必要です。
どの微量ミネラル成分がどの位含まれているかは、各製品の表示やパンフレットをご参照下さい。同時に、特定のミネラル成分が強化されている製品につきましては、過剰摂取にならないような配慮も必要です。


 疾患時の濃厚流動食の使用について
@これらの場合にお薦めします

 食事による栄養摂取が困難な場合や、栄養状態の改善が濃厚流動食により有効な場合。
 (但し、消化管の著しい機能障害がないことが使用の前提となります。)


A投与熱量について

 患者さんごとの必要な投与熱量を個別に設定する際には、患者さんの状態に合わせて、ハリスベネディクトの式等で算出した値を参考に、投与熱量を決定して下さい。

B投与する栄養素の組成について

 患者さんの栄養状態を血液検査等で測定し、「日本人の栄養所要量」なども参考にしながら投与する組成を決定し、濃厚流動食を選択して下さい。

C下痢への配慮

 患者さんが下痢傾向の場合は、下痢の改善に関連のある、「中鎖脂肪酸」、「食物繊維」、「オリゴ糖」等が配合されたものを選択してみて下さい。下痢の多くは投与速度が速過ぎ、濃度が不適合な場合に起こります。 
また、下痢が続く場合は医師に相談すると共に、低速安定投与を試みるか、経腸栄養専用ポンプを用いてください。 
同様に、下痢にもかかわらず、下剤や下痢の原因となる抗生物質等の使用を継続している場合もご注意下さい。


D濃厚流動食の投与温度について

 従来、濃厚流動食の投与温度は「体温(35℃)程度を基本として下さい。」等の考え方がありますが、投与前に加温しても、経管投与中に冷めてしまい、実際には室温に近い温度での投与となります。冷蔵庫から出した直後の状態で投与しなければ、あえて加温の必要は無いと思われます。

E便秘への配慮について

 患者さんの便性が便秘傾向の場合の流動食の使用については、便秘の改善に関連のある、「食物繊維」、「オリゴ糖」等が配合されたものを選択してみて下さい。

これらの場合には使用しないで下さい

 「腸管の完全閉塞」、「吸収障害の強い場合」、「消化管瘻」、「重症膵炎」、「激しい下痢」、「ショック」等の場合。

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 組成上の留意点
 濃厚流動食の組成について

 各製品の組成につきましては製品表示とパンフレットを良くご確認下さい。

 濃厚流動食の「アレルギーを含む食品に関する表示」について

 日本流動食協会としては、来年3月までに一般の食品と同様に厚生労働省の通達(「アレルギー物質を含む食品の表示」食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正する省令(平成13年厚生労働省省令第23号)に従い省令による5品目の「特定原材料等」の表示を行ないます。(通知による特定原材料等の19品目に関しましては、各製造メーカーの判断に委ねます。)

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 管理上の留意点
 管理の基本事項

 @投与スケジュールを決めて下さい。
 A急速投与はしないで下さい。
 B調整の際の取り扱いや、容器を清潔にするよう注意して下さい。
 C開封後は出来るだけ早くご使用下さい。

 チューブ/投与用具洗浄の目安について

 濃厚流動食の投与に使用滅菌済みのチューブや投与容器(バッグ・ボトル)の類は一回限りの使用が原則です。
やむを得ず再度使用する際は滅菌されていない事を忘れずに、0.01%次亜塩素酸Na(ミルトン等)を用いてチューブや容器の内外部を十分洗浄して下さい。
特に点滴筒部の汚れが落ちにくいと思われますので注意して下さい。
更に、洗浄後、0.01%ミルトンに1時間以上チューブ・容器とも浸けておくとより安心して使用する事が出来ます。

 投与スピードと代謝について

 人間の胃の排泄速度は200kcal・ml/時です、安全を考慮し、投与速度は100kcal・ml/時が望ましいと考えます。

 栄養ラインと輸液ラインの誤接続(厳禁)について

 栄養ラインと輸液ラインの誤接続に十分注意して下さい。最近では、栄養ラインと輸液ラインがつながらない栄養セットがありますので、「日本医療器材工業会」にお問い合わせのうえ導入をお薦めいたします。

 濃厚流動食への他の物質の混合による変化について

 酸性の物質や塩類と混合しますと濃厚流動食に含まれるたんぱく成分や他の成分と反応し凝固しますのでご注意下さい。

 投与終了時の洗浄方法について

 濃厚流動食は栄養に富んでおりますので、残存しますと菌の発生・増殖の温床となります。濃厚流動食投与後は、シリンジを用いてチューブに20〜30mlの微温湯を注入し、濃厚流動食がチューブに残らない様にして下さい。

 経管投与時の水分量管理について

 流動食の水分量を表示内容やパンフレットから確認していただき1日に必要な水分量に照らし合わせて水分補給量を決めてください。一般的な1kcal/mlの濃厚流動食の水分量は約80%となっています。 
 また、必要な水分量は30ml/kg/dayですので、体重40kgの人では1200mlが必要です。一般的な濃厚流動食を1000kcal投与とすると800mlが水分ですので、さらに400mlの水分補給が必要となります。

 紙パック品の注意点について

 紙パック品は、紙パックの密封性により無菌状態を保っていますので、衝撃・落下がありますと、紙パックにピンホールなどの発生を招くことがあり注意が必要です。

 保管方法について

 開封前は、各製品の表示にある保管方法にしたがって下さい。
賞味期限が過ぎた製品は使用しないで下さい。
開封後は、濃厚流動食をすぐに使用しない場合は冷蔵庫に保管し、早めに使用して下さい。
多くの濃厚流動食は防腐剤を含んでおりませんので、開封して投与容器に移し替えたあと6〜8時間以上経つと細菌が急激に多くなります。長期間の放置や容器に残った状態での継ぎ足しは絶対に避けて下さい。
また、投与に用いたものは残っていても再使用しないで下さい。

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