濃厚流動食品の使用上の注意
  • 流動と下痢
     経腸栄養法は腸管を使用する生理的な栄養投与法ですが、経管投与の場合にはIVHに比較して副作用としての消化器症状(とりわけ下痢)が問題となります。
     経口摂取の場合には、他の原因による場合を除いて、流動食の投与による下痢の発生はほとんど問題となりません。これは胃のリザーバー機能が働くからです。

  •  チューブ先端が胃内に留置されている場合には、胃のリザーバー機能が期待でき、下痢発生の恐れは軽減しますが、それでも下痢が発生する場合があります。

  •  経管投与の場合、チューブ先端が十二指腸上部に留置されている場合には、特に下痢に対する配慮が重要です。(誤嚥の恐れのある患者の場合には、経腸栄養ガイドラインに推奨される方法で)下痢の発生要因は、投与速度、浸透圧、細菌汚染及び組成に大別されます。

  •  投与速度はできるだけ遅い方が良いです。ただし、高齢者の寝たきり患者で消化管が正常な場合は、術後の栄養管理とは違う場合があり、患者の様子を見ながら、順次投与速度を上げて下さい。

  •  以前は浸透圧が下痢発生の主要因と考えられてきましたが、最近では浸透圧が高い成分栄養でも、投与速度等の調節により、下痢の発生を防げるとの考え方に変わってきています。

  •  投与温度は重要な因子と考えられておりますが、投与前に加温しても、経管投与中に冷めてしまい、実際には室温に近い温度での投与となります。冷蔵庫から出した直後の状態で投与しなければ、あえて加温の必要は無いと思われます。

  •  細菌汚染は意外に知られていない問題ですが、濃厚流動食のほとんどが細菌汚染により凝固することで細菌汚染が確認出来ます。
     しかし、凝固に至らないで増殖している場合もあり、汚染管理は常に重要な課題となっています。

  •  組成による問題は、グルコースや乳糖由来の下痢発生が考えられますが、グルコース重合体であるデキストリンの使用や乳糖が腸内細菌により資化される等で最近は言われなくなりました。
  •  標準濃度(1.0kcal/1ml)で100ml/1時間の経管投与による下痢発現率は低頻度ですが、400ml/1時間では、高頻度の発現率となるので、食物繊維を含んだもの、あるいは下痢発現成分を軽減したものを選択する必要があります。

  •  冷蔵庫から出してすぐの経管投与は、寒冷性下痢を生じ易いので、室温になってから行うか、留置部位が体温と同じ位の温度になるように、最初はゆっくりと投与する必要があります。経口で下痢し易い人は時間をかけてゆっくりと喫食する様に指導が必要です。


    チューブ使用上の留意点
     一般的な濃度(1kcal/1ml)の濃厚流動食は脂質のエネルギー比率がおよそ20〜25%あり、このエネルギー比率が高いほどチューブ壁面に付着し易くなります。脂質濃度を鑑み、8Fr以上のチューブを使用する方が目詰まりの心配はありません。
     チューブを毎回使用する事につきましては、細菌汚染の恐れもあるので、「一回使い捨て」にて用いて下さい。


    栄養アセスメント
     体重増加と浮腫は良く見極める必要が有ります。
     糖尿病、水分制限を必要とする透析患者等の特殊な患者に用いる時は栄養士と相談して下さい。


    投与速度と代謝について
     人間の胃の排泄速度は200kcal・ml/時です、安全を考慮し、投与速度は100kcal・ml/時が望ましいといえます。


    栄養ラインと輸液ラインの誤接続(厳禁)について
     栄養ラインと輸液ラインの誤接続には十分注意して下さい。栄養ラインと輸液ラインがつながらない栄養セット(誤接続防止タイプ)がありますので、「日本医療器材工業会」にお問い合わせのうえ導入をお薦めいたします。


    濃厚流動食への他の物質の混合による変化について
     酸性の物質や塩類と混合しますと濃厚流動食に含まれるたんぱく成分や他の成分と反応し凝固することがありますのでご注意下さい。


    経管投与時の水分量管理について
     流動食の水分量を表示内容やパンフレットから確認していただき1日に必要な水分量に照らし合わせて水分補給量を決めてください。一般的な1kcal/mlの濃厚流動食の水分量は約80%となっています。 

  •  また、必要な水分量は30ml/kg/dayですので、体重40kgの人では1200mlが必要です。一般的な濃厚流動食を1000kcal投与とすると800mlが水分ですので、さらに400mlの水分補給が必要となります。


    希釈して投与する場合の留意点
     どうしても水分で希釈して製品を使用する際には、菌の混入の機会を増すことにもなります。希釈時には衛生的な水を使用する、希釈したまま長時間放置しない、といった配慮が必要です。


    投与終了時の洗浄方法について
     濃厚流動食は栄養に富んでおりますので、残存しますと菌の発生・増殖の温床となります。濃厚流動食投与後は、シリンジを用いてチューブに20〜30mlの微温湯を注入し、濃厚流動食がチューブに残らない様にして下さい。


    医薬品の経管栄養剤と濃厚流動食品の違い
     医薬品タイプと食品タイプの違いは何ですか。
    医薬品タイプは医師の処方に基づき、使用されます。また、食品タイプは食事の一環として、使用されます。
     用途や投与法の違いに関らず、商品ごとに医薬品か食品かが決まっています。

  •  従って、医薬品タイプの流動食を使用しておられる方には定期的に処方箋が出され、病院または薬局で受け取るようになっていて、宅配される場合もそこから行われるのが一般的です。

  •  一方、食品タイプのものは病院や薬局からの宅配はもちろんのこと、直接、メーカーに申し込んだり、最近ではコンビニやドラッグストアで入手できるものもあります。

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