2026年度事業計画


自 2026年4月1日
至 2027年3月31日

 2025年度は、市場における原料高騰、人手不足、円安による食品の高止まりなど、いずれも景気には悪影響を及ぼす外的な環境が継続しております。さらに26年2月になって、米国イラン戦争の結果、ホルムズ海峡が閉鎖され、その影響が出始めております。ナフサの供給不安から、私たちの流動食にとって重要な包装材料資材の高騰、供給不安が発生しております。当然、医療業界は医師会、厚労省を中心に速やかに動いておりますが、私たちも取り残されないようロビー活動に着手しているところです。一方、診療報酬改訂は、2回連続での改訂で合計50円/食の増額も実施されました。とはいえ、インフレのスピードに追い付いているとはいえず、相変わらず給食業態では人手不足と相まって、苦しい状況が続いております。
 26年度になってからも、円安は続き、ホルムズ海峡の影響で市場の混乱は続くものと思われます。多くの予測困難な状況下が今後続くと言わざるを得ません。

このような状況下で各委員会は、下記の5つの点について重点的に活動を行いました。
  ① 診療報酬改定(入院時食事療養費)
  ② 食品添加物の認可
  ③ 新規の特別用途食品規格作り
  ④ 広報活動
  ⑤ 自主規範の作成と立上げ
以下、上記5点について、概要を説明させていただきます。

1)診療報酬改定、特に入院時食事療養費の増額につきましては、25年度の改訂において20円/食が増額されました。こういった活動は、流食協のこれまでの要望活動が寄与・貢献したと考えております。ただし、流動食単独での使用の場合の減算査定の改善につきましては、さまざまな活動を行いましたが、反映されず、据え置きのままでした。
 また、昨年から「在宅患者向け市場の開拓」に本格的に取り組み始めました。手始めとして、産官学を含めた活動にするために、昨年度はまず、厚労省の担当官向けの勉強会を開催いたしました。これをきっかけとして、最終的には、在宅患者向けのインセンティブを付与を目指した活動の緒につきました。

2)「食品添加物の認可申請」(グルコン酸銅、ビオチンの使用拡大)につきましては、25年3月25日に開催されました食品安全委員会ワーキンググループにおいてグルコン酸銅が議案として挙げられました。現在も審議中ではありますが、委員会からの質問に答える活動を行い、数回の審議を経て、認可されると思われます。
 一方、ビオチンにつきましては、25年4月17日の書類受付により、ステージ4に進みました。現在は、概要書の細部についてのやり取りがFADCCと行われております。

3)「サルコペニア用食品(仮称)」は、消費者庁と協議を行ってまいりました。新しい規格を作成するためのサルコペニア・フレイル学会の新しいガイドラインの作成ができあがりました。しかしながら、規格作りまで踏み込める定量的な数値は入っておらず、一旦、中断しました。
 今後は、こういったガイドラインにさらなる定量的な数値がはいるように学会との連携を継続していきます。

4) 広報活動におきましては、これまで通り地道に協会の活動を広く世間に知らしめるための活動を行っていきたいと思います。

5) 24年度に発行した『自主規範』の運用を開始いたしました。数件の自主規範違反が認められましたが、都度都度、事実確認、さらにはそれに対する対応などが行われており、今後も業界団体自ら範を示すことで社会的信用を増していきたいと思います。

 上記5点の活動は、これまで通り、特に委員長の方々および関係者には、大変なご負担をかけておりますが、その結果として得られた成果も多数ございます。紙面上ではありますが、深く感謝させていただきます。

 

 この度の会長選任にあたり、市川新会長が立候補時に提示した基本方針は以下の通りです。理事による投票の結果、過半数以上の信任により新会長に選出され、基本方針が了承されました。

<ビジョン>
栄養療法と低栄養撲滅への貢献を基盤として、食品流動食メーカーが持続的に成長し利益を挙げることができるよう、ビジネス環境を強化する。
<3つの重点戦略>
1)病院市場の再成長
流動食の使用機会増加、入院時食事療養費の増額、栄養療法に伴う診療報酬加算の獲得など
2)在宅市場への本格参入
食品流動食の認知向上、食品流動食がより活用される医療制度の創設、保険償還による購入支援の実現、特別用途食品の普及・啓発・活用の促進など
3)食品流動食ビジネスの持続可能性向上
原材料費や人件費などを価格転嫁できるビジネス環境、製品価値に応じた収益が得られるビジネス構造、業界をリードできる人材の育成、流動食協会のプレゼンス向上
<強化項目>
1)活動:流動食協会からの情報発信強化(PR機能、発信する情報の創出)、流動食協会としてのプロモーション活動、関係団体との連携強化(学会、病院団体、職能団体、卸・流通団体など)、ロビーイングの強化
2)組織:広報委員会の強化、必要な委員会では副委員長を2名体制に
3)ガバナンス:会長公選制度の導入、自主規範の周知徹底、広告自主基準の積極活用

以上の基本方針に基づき、2026年度の流動食協会の方針は以下の通りです。

<2026年度基本方針>
1)中東情勢に伴う石油関連物資への対応と食品流動食の安定供給に向けた取り組み
2)在宅医療において食品流動食がより貢献するため、医療・保険制度の整備および食品流動食に関する啓発・広報など
3)病院市場の再成長に向けた機会創出(入院時食事療養費の増額、栄養療法に対する診療/介護報酬加算、エネルギー摂取からアウトカム貢献へのパラダイムシフト垂範など)
4)流動食協会のプレゼンスの向上(自主規範により公平で開かれたビジネス環境整備、厚労省内勉強会など医療行政への貢献、政策要望などアカデミアとの協働)
<各委員会への展開>
・制度委員会:自主規範の周知徹底および運用、特別用途食品の利活用促進(特活研との協働)など
・技術委員会:食品添加物の使用基準拡大、相互接続防止コネクタの導入に関する情報収集など
・保険委員会:厚労省内勉強会の実施(MN協議会と協働)や政策提言、関連各団体へのネットワーキングおよびロビーイングなど
・広報委員会:食品流動食の普及啓発に向けた各種情報発信、業界事業規模の調査と発信など

 

各委員会報告

●制度委員会 (委員長:蓬莱伸光)
1)活動方針
濃厚流動食にかかわる制度上の課題を抽出し、実態に即した円滑で健全な事業活動が可能な環境整備を具体的かつ強力に推進する。
2)2026年度の活動テーマ
➀「特別用途食品制度の活用に関する研究会(第11期)」への参画
・適正広告自主基準の運用推進
・特別用途食品申請に関する運用改善要望
②「自主規範」の見直しおよび運用の検討、実行を通じた更なる健全な業界環境の醸成

●技術委員会 (委員長:神谷慎一)
1)活動方針
流動食に拡大に向けた許可基準見直し、医療政策および規制導入における技術的な課題に対応する委員会
2)2026年度の活動テーマ
①食品添加物(グルコン酸銅、ビオチン)に使用基準拡大に向けた取り組み
②相互接続防止コネクタの導入に関する情報収集の継続

●保険委員会(委員長:市川正樹)
1)活動方針
・外部環境の変化
・病院経営状態の悪化(半数以上が赤字経営、経営破綻のリスク)
・原材料費や光熱費、人件費などの高騰が継続
・社会保障費の抑制(2024年度48兆円)
・高齢者負担の見直し
・地域医療構想による「効率的な医療提供体制、病院・病床機能分化」
・OTC類似薬の保険対象外の検討
・2026年度診療報酬改定
・中東情勢
・物価高騰に対する財政出動(→財源探し)
2)2026年度の活動テーマ
<関係強化>
・関係省庁、病院団体、関連学会、関連職能団体、他の業界団体
・有力な政治家、議員連盟
・海外の有力な業界団体
<政策強化> 
・市場拡大・市場創造(在宅、病院)
・在宅における食品流動食に対する保険償還に向けた環境醸成
・厚労省内勉強会の継続
・関係各方面に対するロビーイングの強化
・各種アンケート・調査の実施
・病者用食品を用いた栄養療法への診療報酬・介護報酬加算の可能性模索(特別食加算を含む)
・入院時食事療養費の増額要望(継続的な全体増額、減算撤廃)
・市場拡大・創造に必要な調査研究の実施
・海外での成功事例の研究
<体制強化>
・エビデンス創出、ロビーイング、ステークホルダーと戦略協議、などができる人材・組織の巻き込みおよび育成
・ステークホルダーから信頼される業界団体への進化

●広報委員会(委員長:佐野淳也)
1)活動方針
2025年度に推進したタイムリーな情報提供体制を基盤とし、2026年度は、栄養療法および低栄養撲滅への貢献を軸に、食品流動食メーカーの持続的成長を支援するため、行政・医療機関・関連業界に対して、より多角的かつ戦略的な広報活動を展開する。
2)活動テーマ
① ホームページの改修と発信力強化(最重点)
・令和8年度の診療報酬改定の内容に基づき、通知ページのアップデートを実施
・閲覧者目線に立ち、ホームページの「見やすさ」「探しやすさ」を重視した構成を検討
・行政通知、学会報告、関連団体動向などの最新情報を迅速に提供し、協会のプレゼンス向上を図る。
② 濃厚流動食品事業規模の把握と公開
・2026年度の濃厚流動食品の事業規模を算定し、学会やホームページ等で公開
・算定結果を学会やホームページで公開するだけでなく、医療機関や業界関係者への発信機会を検討する
③ 普及啓蒙活動の接点拡大
・JSPEN2027での展示活動を継続
・加えて専門雑誌との連携による流動食の有用性や協会の活動を広く周知
④ 各委員会との連携、及び組織体制の強化
・制度、保険、技術各委員会との相互連携を強化し、情報提供の最適化を実現
・上記活動を円滑に遂行するため、広報委員会スタッフの強化を検討

以上

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