2023年度事業計画


自 2023年4月1日
至 2024年4月31日

 2022年度は、コロナウイルスの影響もかなり緩和され、役員会や連携団体との会合も少しずつリアル面談に戻りつつありました。3年ぶりに日本臨床栄養代謝学会の比企理事長への新年のご挨拶も再開することができました。そのような中で、各委員会は委員長と副委員長の2名が連携して、下記の5つの点について重点的に活動を行いました。

①診療報酬改定
②食品添加物の認可
③ISOコネクタのスムーズな導入
④新規の特別用途食品規格作り
⑤広報活動
以下、上記5点について、概要を説明させていただきます。

1)2022度の活動は、これまでの入院時食事療養費の維持とは異なり、前向きに新たな診療報酬を申請するための活動へと一歩踏み出しました。具体的には、褥着学会との連携を実施し、外保連への診療報酬の要望書の執筆活動のサポートを行ってきました。また、入院時食事療養費につきましても、引き続き、厚労省との調整を行ってきました。

2)「食品添加物の認可申請」(グルコン酸銅、ビオチンの使用拡大)につきましては、FADCCのドラフトの確認作業が続いておりましたが、ようやく、23年3月にFADCCから厚労省へ申請書を提出する旨の連絡があり、作業が食品安全委員会に進む見込みになりました。グルコン酸銅について目途が立ちましたので、ビオチンの申請書の作成に取り掛かりました。

3)コネクタのISO化導入につきましては、昨年から引き続き、デバイスメーカー団体であるMT-Japan等関連団体との情報交換を継続し、当協会のHP上で情報提供を行ってまいりました。22年5月に厚労省からの通知により、切り替えの時期は1年延長されましたが、その後は、大きな動きはなく、順次切り替えが進んでいると思われます。

4)「サルコペニア・リハビリ食品(仮称)」は、消費者庁と協議を行ってまいりましたが、新しい規格を作成するためには、その根拠を示す必要があり、現在、2つの学会と協議を行い、新しく作成されるガイドラインを根拠とする方向で進めております。

5)広報活動におきましては、コンテンツを充実させ、引き続き、HPでの発信を継続しております。

 上記5点の活動は、これまで通り、特に一部の企業の方々、一部の方には大変なご負担をかけておりますが、その結果として得られた成果も多数ございます。紙面上ではありますが、深く感謝させていただきます。

 2023年度は、ISOコネクタ以外のテーマにつきましては、重点化して、進めていく所存でございます。ISOコネクタにつきましては、MT-Japanとの情報交換を継続しますが、積極的な動きがあるとは予想されず、重点課題から一旦、外させていただきます。
 今年度も多くの会員の方々にご協力をいただきつつも、引き続き、専門性の高い外部の団体との連携、会員の皆様からの人財の活用を図っていく方向で考えております。上記の内容とこれまでの基本方針に基づき、今年度は大きく4つの重点活動を行います。

 一点目は、「食品添加物の認可申請」です。グルコン酸銅は、ようやくステージがあがり、食品安全委員会での審議が始まると思われます。また、ビオチンの申請書につきましては、すでに作成に取り掛かつており、FADCCの指示を受けながら、早々に申請を行い、その後は、グルコン酸銅と同様の作業になると思います。グルコン酸銅での経験を活かし、少しでも早く厚労省ヘステージアップできるよう努力していきます。
 二点目は、「診療報酬改定への取り組み」です。2024年度の改訂へと動き始めております。現在は、褥着学会との連携で要望書の作成に取り組んでおります。近々に外保連に提出し、その後ヒアリング等の活動で、学会をサポートしていきたいと考えております。一方、これまでの活動の主体でした「入院時食事療養費の維持」につきましては、現状(値上げせざるを得ない状況)を説明し、厚労省等への要望書の提出を行いたいと考えております。
 三点目は、「サルコペニア用食品(仮称)」の新規格基準の策定です。規格案の科学的根拠等を得るために、サルコペニア・フレイル学会とリハビリテーション栄養学会のガイドラインの完成を待ち、その後、ヒアリングを行っていきます。時期を見て、消費者庁と改めて交渉に入りたいと思います。

 また、上記重点活動以外にも「ISOコネクタの情報収集」「広報活動のさらなる進化、継続」、「新規会員の募集」などの地道な活動につきましては、会員一同の活動として、行ってまいります。
 いずれの活動にも委員長および副委員長(ならびにそれに相当する人財)の2名体制でのリーダーシップのもと進めてまいります。調査、解析、官公庁との交渉、それに付随する資料の作成、他団体との連携・交渉など多くの業務が必要となってきておりますので、会員皆様のこれまで以上のご協力を引き続きお願いしたいと思います。

基本方針

(1)「栄養療法」の普及啓発を通じて、国民の健康および業界の発展に寄与する。
(2)新しい「総合栄養食品」の制度を活性化することにより、
   業界の発展(在宅市場規模拡大)につなげる。
(3)お客様、特に将来増えるであろう在宅医療現場の方々のための活動を推進する。
   (「サルコペニア用食品(仮称)」の規格作成、HPの継続的改訂、総合栄養食品の普及啓発活動など)
(4)「濃厚流動食」を取り巻く各種課題(ISOコネクター導入、食品添加物の認可申請、
   金銭的負担軽減、診療報酬の改定)の解決に努める。

各委員会報告(2023年4月1日~2024年3月31日)

●制度委員会 (委員長:相原健司)
(1) 活動方針
濃厚流動食にかかわる制度上の課題を抽出し、実態に即した円滑で健全な事業活動が可能な環境整備を具体的かつ強力に推進する。
(2) 2022年度の活動テーマ
  1)「特別用途食品制度の活用に関する研究会(第10期)」への参画
    許可基準型「サルコペニア用食品」新設要望
    改正通知等に基づく申請促進
    総合栄養食品の広告表現
    総合栄養食品制度・許可品の普及啓発
  2)栄養コネクタの国際規格に関する対応
  3)在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料に関する対応

●技術委員会 (委員長:神谷慎―)
(1)活動方針
流動食に拡大に向けた許可基準見直し、医療政策および規制導入における技術的な課題に対応する委員会
(2)2022年度の活動テーマ
  1)食品添加物(グルコン酸銅、ビオチン)に使用基準拡大に向けた取り組み
  2)相互接続防止コネクタの導入に関する情報収集の継統

●保険委員会(委員長:藤森孝幸 副委員長:市川正樹)
(1)目標
  ・日本流動食協会から令和6年入院時食事療養費改定(増額)に関する
   流動食協会から厚労省への要望書提出
  ・日本褥病学会からの令和6年診療報酬改定への技術提案書提出支援
  ・栄養療法充実化を目的に関連団体との協業支援検討
   日本栄養士会 JSPEN 全国国立大学病院栄養部門会議

(2)手段
  ・流動食メーカーの製造コストおよび販売価格の年次調査(第3者機関による調査)
  ・関係各省との情報交換会の継続
  ・関連学会や団体と連携を強化する
  ・関連業界団体と情報共有を充実させ業界の共通認識として直面する課題に取り組む

●広報委員会 (委員長:原浩祐)
(1)活動方針
日本流動食協会の認知度の向上だけでなく、協会から発信する情報(行政通知、関連団体の動向情報等)をタイムリーに提供できる組織を構築し、行政機関や濃厚流動食品を利用している医療機関関係者に対し、当協会及び濃厚流動食品の一層の理解を促すことを目的に、ホームページ等で啓発活動を行っていく。
(2)活動テーマ
  ①ニーズに合わせたホームページの改定を実施する
  ②2022年度の濃厚流動食品事業規模を算定し、ホームページ上で情報提供する
  ③啓発活動の一環として以下の学会・研究会にて展示等を行う
   ・5月:第38回日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)
       2023年5月9日(火)~ 10日(水)
       会場:神戸コンベンションセンターほか
       会長:神戸大学 小谷穣治 先生
       (展示費用は前期に支払い済)
   ・2月:第39回日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)
       2024年2月15日(木)~ 16日(金)
       会場:パシフィコ横浜ノース・アネックスホール
       (展示費用は今期予算で計上予定)
  ・その他関連学会への参画
  ④当協会及び濃厚流動食に関わる情報、医療業界、行政の公開情報の取得に努め、
   ホームページ上でタイムリーに関連情報を提供する。
  ⑤関連する行政機関、業界団体および技術委員会、制度委員会と連携を図り、
   重要案件の共有化を継続的に行う。
  ⑥役員専用サイトを開設する(昨年度未達事項)。