厚生労働省への「入院時食事療養費の減額算定撤廃を求める改正要望書」提出のお知らせ


 濃厚流動食を製造・販売する企業を中心とした団体である「一般社団法人 日本流動食協会」は、2023年6月7日に提出した「入院時食事療養費に関する改正要望書」に続き、2025年6月25日に「市販流動食のみを経管栄養法により提供した場合の減額算定を撤廃することを求める改正要望書」を厚生労働省保険局に提出しました。

【要望書提出の背景】

 平成28年度に導入された「市販流動食のみを経管栄養法により提供した場合の1割減額算定」は、当時の医薬品経腸栄養剤と市販流動食の1日当たり算定額の差を是正する目的で設けられました。しかし、現在では医薬品経腸栄養剤の薬価が不採算品再算定などにより大幅に上昇し、令和7年4月時点では1日当たり算定額が市販流動食を上回る状況となっています。このため、算定額差の是正を目的とする現行の減額算定は、合理的な根拠を失っていると言わざるを得ません。令和5年6月7日付けで、「一般社団法人 日本流動食協会」、「日本メディカルニュートリション協議会」および「全国病院用食材卸売業協同組合」の3団体が提出した要望書では、入院時食事療養費の増額および市販流動食のみを経管栄養法使用時の減額算定の撤廃が求められ、令和6年および令和7年度の診療報酬改定で合計50円/食の増額が認められたものの、減額算定の撤廃は依然として実現しておりません。

 1割減算の影響により、市販流動食を製造販売する企業の事業環境は著しく悪化しています。平成28年度以降、多くの企業が市場から撤退し、令和4年末には1社が撤退しました。加えて、昨今のインフレや円安の影響で原材料費や輸送費が高騰しており、企業収益が圧迫されています。このような状況が続けば、製品の安定供給や品質維持が困難になるばかりでなく、患者への適切な栄養供給が脅かされる恐れがあります。

 特に、経管栄養を必要とする患者にとって、市販流動食は医薬品経腸栄養剤と並ぶ重要な選択肢です。現行の減額算定が継続されることで、製品の研究開発や製造能力維持のための投資が進まず、市場における製品の多様性や品質向上が妨げられる懸念があります。このような背景を踏まえ、本協会は、減額算定の撤廃を求める改正要望書を提出するに至りました。

2025.6.25 日本流動食協会 要望書